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本編
コウノ社長は、いったい
何を言い出すのだろう。
驚いて、よくよく話を聞くと、
まったく想像していなかった
内容が語られた。
驚きすぎて、涙も引っ込んだ。
代わりに、頭に血が上った。
スカ子「なんでそんな
大事な話を、
してくれなかったの、あの人!」
コウノ「奥さん、男のプライドと
いうものがあるんですよ。
彼も苦しかったと思いますよ」
スカ子「あの人、今どこに……
約束したのに、ここに来なくて」
そんな話だったら、もしかして。
私は恐怖で体が硬くなった。
頭には血が上ったまま。
すると、河野社長はスマホを
取り出して、誰かへ電話を始めた
会話の内容からして、
相手はヤスフミに違いない。
コウノ「うん、うん。
中学校にいるって?」
そう聞こえた瞬間、
居ても経ってもいられなかった。
私は支払いも忘れて
店を飛び出してしまった。
タクシーで駆けつけると、
彼は私達が卒業した
中学校の門前にいた。
黙って立ち、じっと教室を
見上げている。思い出に
ふけっているような様子だ。
スカ子「ヤスフミ!」
ヤスフミ「え?ス、スカ子。
どうしてここに」
スカ子「コウノ社長に
お会いしたのよ。
さっき電話があったでしょ?
私も近くにいたの。
というより、話は全部聞いたわ。
どうして一人で
抱え込んでいたのよ!」