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本編
ダイスケ「確かに音がしたのか?」
アスカ「うん。何回も。」
ダイスケ「……見に行ってくる。」
アスカ「待って。私も一緒に行く。」
2人で恐る恐る階段を降りていくと、
あと数段で1階、というところで
また『ガタン!』と音がした。
キッチンの方からだった。
階段からキッチンの方を覗くと、
人影などは無く、聞こえるのは、
壁掛け時計の秒針のかすかな音
だけだった。
ダイスケが先に立って歩き、
リビングを抜ける時にソファーから
クッションを取り、それを盾のように
構えながらキッチンへと足を進めた。
アイランドキッチンにさしかかった
時、また『ガタッ、ガタン!』と
音がした。音は下の方…
床から聞こえたようだった。
奥の方の床に、まだ何も入れていない
床下収納があるのだが、
その中から音がしたように思えた。
アスカ「動物?…」
思わずそうつぶやくと、
声に反応したかのように、
『ドンドンドン!』
『バンバン!』
『ガタン!ガタン!』
と、立て続けに音が鳴り、
床下収納の蓋がガタガタと震えた。
くぐもった声のような音も
聞こえてくる。
アスカ「ひっ…」
確実に何かが中に居て、
蓋を開けようとしている…。
恐怖だった。
床下収納の蓋の上には、
夕方amazonから届いた備蓄用の
水のケースが4個、乗っていた。
ダイスケが素早く動き、水のケースの
上に座った。どうやら自ら重しに
加わってくれたようだった。
ダイスケのおかげで蓋はガタガタ
しなくなったが、中で暴れるような
音や、声のような音は続いた。
オロオロするばかりの私に、
ダイスケが「アスカ、大丈夫だから」
と声をかけてくれた。
私がコクコク頷くと、
ダイスケは落ち着いた声で、
「灯りをつけて、警察に通報して。
出来る?」と聞いた。
私はまたコクコクと頷き、
ダイスケの指示通り、キッチンと
リビングダイニングの灯りをつけ、
電話の前で深呼吸したあと、
110番に通報した。