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本編
ヨシノ「な、何だこれは!?」
社長「何だこれは、はこちらの
セリフだ!辛い!」
みんな口々に辛いと叫び、水を求めて
会議室を飛び出す者もいた。
ただ一人、飲んでいない俺だけは余裕。
何しろ、マユから分けてもらった、
大人気のダイエット食品「辛さ十倍・
スコーピオンタバスコ」を、これでも
かとボトルに詰めた張本人だから。
俺の作戦は、残りのトマトジュースに
色も濃さもよく似ている
スコーピオンタバスコを混ぜて、
プレゼンに使わせるという事だった。
ヨシノは、味見用のトマトジュースを
持っていない。俺はそう予想した。
プレゼンに持ち込むための下準備
として、あいつは関係者に
飲ませたはず。そして油断させる
ために、毎日ボトルを盗ませた。
ヨシノはすっかり味をしめて、
何度も持ち帰っている。その行為は、
週末ぎりぎりでいったんやめた。
つまり、俺から盗んだボトルを
使い切らせるため。
ジュースは個人輸入の商品だ、
取り寄せには早くても半月はかかる。
俺から盗むのが当たり前になっていた
ヨシノが、プレゼン用に急いで注文
しても、間に合わないのは確実だった
だから、俺は残りのボトル全てに
タバスコを仕込み、
わざとヨシノに持って行かせた。
俺の私有物だと証明する方法でも
あった。俺の飲み物だ、どんな味付け
をして飲もうと、俺の自由だろう?
まともに購入していたら、
タバスコ味のトマトジュースに
なるわけがないのだから。
会議室を出て行った社員に、
水を配って貰って、
何とか立ち直った社長と
役員一同に、俺はそう説明をした。
ついでに、発注履歴も提出した。
社長「ヨシノ!
おまえ、私をだましていたのか!」
ヨシノ「いやあの、ええと」
ちなみに、ヨシノには水は
配られていなかった。
どうやらあいつ、俺以外にも
恨みを買っていたらしいな。
水も貰えず、社長に追及されて、
慌てふためているところに
悪いんだが、ここで特別ゲストに
入室してもらうとするか。
俺は、総務課のナオトを
会議室にいれた。
ナオト「この頃問題になっている、
試供品を含んだ社内備品の
在庫数が合わない件について。
持ち去り犯人を特定しました。
ヨシノさんです!」
ヨシノ「はぁ!?」