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本編

そこからは、もはや何も

信用できない相手たちと、

仕方なく共に暮らすしか無かった。

会話をする気にもなれず、

最低限の連絡事項だけを交わし、

掃除や洗濯は全て自分でやった。

 

食事も極力別に取り、

一緒に食べろと強要された時にだけ、

少し箸をつけた後は

すぐ自室に引きこもった。

家の中の雰囲気は暗く冷たく、

居心地は最悪の日々…

そこにはもう、

団欒と呼べるようなものは

カケラも存在しなくなっていた。

 

私はただ、家を出ることだけを

考えて過ごし、高校も、

寮の有る他県の高校を希望した。

父に報告すると、もう反対もされず、

アッサリ同意してくれた。

祖父母は心配の言葉を

口にしたものの、どこか

ホッとしているようだったし、

母は相変わらず、

無表情のままだった。

 

家を出る時、私の荷物は

とても少なかった。

わずかな服と日用品、スマホと

ノートパソコン、小学校と中学校の

卒業アルバムと数冊の本。

本の中には、本当の母に読んで

もらった思い出の絵本もあった。

高校では精一杯学び、夏休みや

冬休みも家に戻ることは無かった。

 

父親は罪悪感からか義務感からか、

大学の学費を出すと言って

進学を進めたが、私は一刻も早く

父親たちとの縁を切りたかったので、

大学には行かず、就職した。