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本編
ツバサ「何度も謝っただろ!!!
許してくれたと思ったのに!!!
なんで母さんにまで言うんだよ!!」
今まで一度も声を荒げた事など
なかったツバサが、部屋を震わせる
ような怒鳴り声を上げて
立ち上がった。
一瞬殴られるかと思ったが、
ツバサは部屋の隅に置いてあった
バッグの所に向かって歩いて行った。
(部屋を出て行くつもりだ!!
まだ話し合いの途中なのにー!!)
私は、絶対に逃すものかと
腕を掴んで引き止めた。
スカミ「オマエどこ行くつもりや!!
逃げんのかコラァ!!!
こっちはなぁ、
嘘ばっかりのオマエの人間性に、
真正面から向き合っとるんじゃ!!!
それをオマエは話の途中で
逃げ腐んのか!!それでも男か!!!
腹が立つんやったら、オマエも
真正面からぶつかって来たら
どないやねん!!!」
ツバサ「………………」
スカミ「そもそもオマエが返せも
せんのに借金したんが悪いん
ちゃうんかい!!!その上それを
パートナーに秘密にして、嘘ついて、
挙げ句の果てに、その事に
耐えられんようなって、
心も体も壊してからに!
まだ親にまで秘密にする
気ぃか!?そんなに壊れたままで
いたいんか!!!」
ツバサ「………………」
スカミ「借金のこと聞いて、
お母さんがなんて言うたか
教えたろか?
『私が借金の事を知った
って、ツバサには言わないで』
って言うとったんやで…。
なんでか分かるか?『親元を、
最後の逃げ場所として残しておいて
やりたい』からやって!!!
どない思うんや??えぇ??
こんな親心聞いてオマエ、どない
思うんかて聞いとんじゃい!!!」
私はいつの間にか、ボロボロと
涙を流しながら怒鳴っていた。
私が何を言ってもツバサの心の奥底
までは届いていないようだったが、
お母さんの言葉を伝えた途端、
ツバサは顔を歪め、やがて
堪えきれずに泣きながら崩れ落ちた。
やはり母親は偉大だ…。そう思った。