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本編
自分でも、ただの見栄だと分かって
いたが、これまでテツヤに言いたい
放題言われてきたことが悔しすぎて…
テツヤをギャフンと言わせることを
目標に、この2年半ずっと
頑張ってきたので、
「私には1人でツムギを育てて
いけるだけの力が有るのだ!」
と、テツヤに証明したかったのだ。
手頃なマンションを契約し、
生活が出来るよう整えていった。
テツヤに気付かれないように
注意ながら自宅とマンションを往復し
替えのきかない荷物だけを、
少しずつ移していった。
バタバタと慌ただしく過ごしている
うちに、ついに入園式の日が…
離婚を言い渡す日がやって来た。
父親と母親、どちらも参加しやすい
ようにと、入園式は土曜日だったので
テツヤも出席してくれるよう、
半月前から伝えておいたのだが…
前日の夜に念を押すと、テツヤは
(あっ…)という顔をしたあと、
「仕事だから行けない」と言い出した。
ツムギの為に、最後に3人で
写真を撮るつもりだった私は、
今回ばかりは食い下がったが、
テツヤは「仕事があるから」と言って
全く話を聞こうとせず、さっさと自分
の寝室に行ってしまったのだった。
(半月前に伝えた時、
確かに面倒臭そうだったけど、
「分かった分かった」って、
一応同意してたのに…
仕事が入ったんなら、
その時点ですぐ言うべきでしょ!
すっかり忘れて仕事を入れたか…
まさか…チナツと約束してるんじゃ
ないでしょうね!?)
私はこの自宅で過ごす最後の夜も、
またテツヤにイライラさせられる
ことに、ほとほと嫌気がさした。
(ま、明日にはオサラバなんだから、
もうテツヤの事は考えないように
しよう!考えるだけ損だわ!)
そして当日の朝…
スカコ「ねぇテツヤ。
仕事で入園式に出席出来ないのは
仕方ないけど、せめて今日は
早く帰って来てよね。話があるから」
(離婚の話だよ!)と、
心の中で舌を出しながら、
私はテツヤに声をかけた。
テツヤは生返事を返しながら、
私を見ようともせずにさっさと
出かけて行った。