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本編

声を震わせ泣きながら、居もしない

母の姿を求める女の子……

事情を知らない私まで

胸を締め付けられ、

思わず涙を流してしまうのだった。

 

(きっと、ママが亡くなったことを、

まだよく理解出来ないんだわ……

かわいそうに……)

 

この子の母親だって、

きっともっと、この子と一緒に

生きていたかった筈だ。

この子が成長していく姿を、

すぐそばで見ていたかっただろうに…

 

(生きたくても生きられない人

だっているのに……

私は治ると言われている癌なのに、

簡単に死にたがって……

なんて自分勝手だったんだろう……)

 

私はさっきまで死にたがっていた

自分を恥じた。

『命を粗末にしてはならない』

という当たり前の事を、今更ながら、

実感を持って再認識させられたのだ。

涙を拭いてベッドから起き上がり、

女の子の側に近付いた。

 

膝をついて泣きじゃくる女の子を

そっと抱きしめると、

背中を優しくトントンしながら、

私は「大丈夫よ…泣かないで…」

と繰り返した。​​

 

しばらくすると女の子は

少しずつ落ち着きを取り戻し、

泣き止んだ頃を見計らって、

「プリン食べる?」と聞いてみた。

 

女の子は涙に濡れた頬のままコクリと

頷いたので、私はニッコリと微笑み、

ミニ冷蔵庫の中から、

プリンを1つ取り出すと、

女の子の手に乗せた。

 

スカコ「はい、どうぞ」

 

女の子「ありがとう…」

 

スカコ「どういたしまして〜」