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【スカッとする話】兄の結婚式に行くと兄嫁両親が私に帰れと言ってきた…【第1話】
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本編
兄はアルバイトをして、
私を陰から支えてくれた。
でも私はというと、両親の他界と
親戚に冷たい扱いをされた
ショックから、人間不信気味に
なってしまった。
兄以外には
心を許してはいけない。
ずっとそう思い込んでいて、
外出もままならなくなり、
親せき宅で息をひそめるように
暮らす事しかできなく
なってしまった。
当時の記憶は、
今も私に根深く残っている。
兄が高校を卒業し、国立大学に
合格して、親戚の家を
出ることになったとき
リョウジ「スカ美、
俺と暮らそうか?
ここに一人で残るか?
俺は、スカ美をこのままに
するのは嫌だ」
兄に誘われ、ついていった。
親せきには
引き留められなかった。
保険金の残りのうち、一部を
いわば手切れ金として受け取り、
後は兄が頑張ってくれた。
私は相変わらず外に出られず、
高校は諦めた。
兄を通じて内職をさせて
もらえるようになったのが、
そのころの精いっぱいだった。
最近になって、やっと
在宅ワーカーらしくなってきた。
以前はシール貼り、あて名書き
といった、単純作業しか
できなかったけれど、今は違う。
高校に行けなかった代わりに、
珍しいスキルを獲得して、
贅沢しなければ一人でも
やっていけるくらいにまでは
成長している。