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本編

(自分があんなにもヘタレだった

なんて…もう少しヤレる男だと

思ってたのに…)

 

あの時、頭が真っ白になってしまい、

何も考える事が出来なかった

自分を責め続けた。

何度か警察署に呼ばれ、

事情聴取を受けたり書類に

サインをしたりする中で、

警官からも色々と話を聞いた。

ノブタカとアヤカ夫婦は、

元々隣町に住んでおり、自宅の1階で

小さなバーを経営していたそうだ。

 

コロナ禍のせいで売り上げが

急激に落ち込み、

それまで真面目に働いてコツコツと

貯めていた貯金を使い果たし、

家賃を払えなくなって

困り果てている時に、

うちの祖父の訃報を聞いたらしい…

この家が借家だとは思わず、

一人暮らしの年寄りが亡くなって

空き家になると思い込んだ2人は、

悪いと思いつつ入り込み、

住み始めたのだということだった…

 

(コロナ禍のせいだと聞くと、

気の毒ではあるけど…でも、

何でそんな結論になるんだ??

縁もゆかりもない他人の家に、

勝手に住んで良いはずが

ないじゃないか…)

 

そんな事をしたら絶対に見つかるし、

逮捕されてしまうと俺は思うのだが…

ノブタカとアヤカは

大丈夫だと思ったらしい。

浅はかと言うか何と言うか…

 

スカオ「2人はどうやって

家に入ったんでしょうか?

鍵はちゃんとかかっていたし、

見て回っても、窓ガラスが

割れていたりもしていなかった

のに…」

 

警官「それが…2人とも

『最初は窓が空いていたので、

そこから入った』と

言っているんです。

その後、引き出しの中に

鍵を見つけて、以降は普通に

鍵を使って出入りしていたと…」