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【ブログ限定】ウエディングドレスにワインをかけるDQN妹「これで着れないねw」私「え?式は◯◯だけど」→結果…【後編】

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【ブログ限定】ウエディングドレスにワインをかけるDQN妹「これで着れないねw」私「え?式は◯◯だけど」→結果…【前編】
中編はこちら▼ 後編はこちら▼ 本編 スカミ「わあああああ!」 ベッドから飛び起きた私は、 自分が上げた悲鳴に驚いていた。 寝汗とも冷や汗ともつかない汗で、 全身が濡れているのにも気づく。 ああ、またあの夢だ。 ...

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【ブログ限定】ウエディングドレスにワインをかけるDQN妹「これで着れないねw」私「え?式は◯◯だけど」→結果…【中編】
前編はこちら▼ 後編はこちら▼ 本編 感情的にこじれてしまって、 本人でもコントロールできない レベルなら、諦めるしかない。 祖父母からその話を聞いて以来、 私は家族から距離を取った。 妹のレミにいたっては、 母の影響...

本編

お互いにぽかんとしていた時だった。

突然、レミの背後から

 

ミサオ「おい!」

 

女性の声とはいえ、

かなり勇ましい口調の、

妹を呼ぶ声が通話に割り込んできた。

スマホごと、レミが振り向いた。

見知らぬ女性が、怒髪天を突くとは

この事かと納得するくらい、

鬼の形相で仁王立ちしていた。

 

ミサオ「レミ、あんた

何してくれてんの!?

なんで私のウェディングドレスが、

あちこち赤く染まってんの!?

そもそも、あんたどうして、

私の控室にいるんだよ!」

 

レミ「ええええええ!?

ここ、ミサオ先輩の控室?」

 

ミサオ「ふざけてんじゃねぇわ!

あんた、お祖父ちゃんが

ホテル経営してるからって、

私の結婚式をここでやれとか、

うるさかったよな?

後輩の顔を立てて、

ここを選んだ結果がこれかよ!?

なめてんのか!」

 

どうやら、ミサオという女性は、

レミにとって先輩らしい。

随分と勝気な性格のようで、

今までへらへらしていた妹は

激しく動揺していた。

 

レミ「ち、違うんです、

そうじゃなくて!

違うくってぇ!

お姉ちゃんの控室と

間違えたんですぅ」

 

ミサオ「お姉ちゃんの控室だぁ!?」

 

レミ「お姉ちゃんも、

今日ここで結婚式するって

聞いてて、それであのぅ。

ワインかけてあげたら、

喜ぶかなって」

 

ミサオ「おめえ、頭の中

どうなってんだ!?

どっかのテーブルの角にでも、

頭ぶつけたのか?

どこの世界の花嫁が、

ドレスにワインかけられて

喜ぶんだよ!?」

 

ミサオさんは、怒涛の勢いで

妹を怒鳴りつけた。

全くの正論。話を聞いていながら、

うんうんと深く頷いた。

 

ミサオ「そもそもの話、

お姉さんも今日ここで結婚式?

何よあんた、お姉さんを

差し置いて、こっちの式に

出る気だったのか?

バカ?

どう考えたって、

お姉さんを優先するのが

常識ってもんだろーがぁ!」

 

レミ「だって、出なくていいって」

 

ミサオ「嘘くさい言い訳すんなや!

あたし、言い訳大っ嫌いなんだよ、

知ってるだろ!?

お姉さんの式には出ないわ、

人の結婚式はめちゃくちゃにするわ、

どういう育ち方したら

こうなるんだよ!

親の顔が見てみたい、

ていうか見せろ!今すぐ!」

 

ミサオさんは、レミを

これでもかと怒鳴り、

控室から追い出した。

半泣きで部屋を出て行った妹は、

スマホを忘れて行ったようだ。

すると、彼女は床に落ちた

それを拾ったようで

 

ミサオ「お姉さんですか?」

 

さっきとは打って変わった

穏やかな声で話しかけて来た。

はいと返事をすると、

ミサオさんは画面越しに

深々と頭を下げた。

 

ミサオ「お姉さんの目の前で、

妹さんを怒鳴りつけてしまって、

失礼しました。

ご結婚なんですね、

おめでとうございます。

白無垢がとてもお似合いですよ」

 

スカミ「いえそんな。

妹がとんでもないご無礼を働いて、

どうお詫びすればいいのか」

 

ミサオ「ああ、ドレスの事なら

大丈夫ですよ。

今日の為にオーダーメイドで

用意したんですけど、

まぁ、汚れちゃったものは仕方ないです。

ホテルに話をして、

予備のレンタルでも借りれば

何とかなりますから」

 

スカミ「せっかくの

オーダーメイドだったのに」

 

ミサオ「いいんですよ、

お気になさらず。

お姉さんは何一つ悪くないんですから。

むしろ、白無垢が無事で

よかったじゃないですか。

ドレスは何とかなるけど、

和装はそう簡単に、代わりを

用意するわけにはいかないでしょう?」

 

何て心が広い。聖女ですか、あなたは。

ミサオさんはにこっと笑って、

スケジュールは大丈夫ですかと

心配までしてくれた。

ああ、ますます聖女。もしくは女神。

 

その時、恐る恐ると言った様子で、

レミが戻って来た。久々に見る母、

事情を把握していなさそうな父も一緒だ。

三人して入って来ると、

ミサオさんは聖女から

鬼女へとすかさず切り替わった。

 

ミサオ「娘も娘なら、親も親だな!

あんた母親か?

ぼけっとしてないで、

娘の不始末について、

何か言う事ないのかよ。

それと、そこのおっさん!

父親だろ?

きょろきょろすんな!

ちゃんとこっち見ろ!」

 

バシバシと叱責を飛ばされた

レミは、しくしく泣き始めた。

本人が言うには、自分より早く、

大嫌いな姉が結婚するのが

気に入らなかったのだそうだ。

祖父のホテルをいい事に、

私の控室を聞きだして、

祝宴会場へ立ち寄り、

準備中のワゴンから

ワインを失敬したという。

 

ただ部屋を聞き間違えてしまい、

たまたま誰もいなかった不幸も重なって、

壁にかかっていたウェディングドレスへ、

何のためらいもなくワインをどばっと。

結婚式は和式の場合もあるという常識が、

すっぽり欠落していたらしい。

 

ようやく事態を理解した父が、

真っ青になって、

まだごにょごにょ弁解している母を

引きずり倒す勢いで土下座させた。

もちろん、レミも。

床に叩きつけられたように見えた。

三人必死の土下座オンパレードが

繰り広げられたものの、

ミサオさんの怒りは収まらなかった。

 

ミサオ「もう準備しないと

間に合わないから、今のところは

これで良い事にしてあげるわ。

ただし、これで済むと思うんじゃねーぞ!

分かったら出て行け、ポンコツ家族!」

 

妹と両親は追い出された。

そして、通話は切れた。

 

後日談。

改めてミサオさんに謝罪するべく、

祖父を通じて連絡をとってみたところ、

快く会ってくれた。

ホテルの喫茶コーナーで

待ち合わせていたら、颯爽と現れて

 

ミサオ「大変でしたね、お姉さん」

 

まさかのねぎらいを頂いてしまった。

いやいや、どう考えても、

大変だったのはミサオさんですよ?

恐縮して謝り倒す私。

笑って首を横に振る彼女という

構図になった。

 

ミサオ「レミは、大学のサークルで

後輩なんですよ。

ちょっと常識知らずだなとは

思ってましたが、

お姉さんの結婚式を放り出すとは」

 

スカミ「それは、まぁその。

いろいろありまして」

 

ミサオ「ご家庭の事情には、

口を出しませんよ。

レミには、損害賠償を請求しました。

軽く1000万いきましたけど」

 

スカミ「1000万ですか!?

そんなに請求されるほど、

妹はご無礼を」

 

ミサオ「あいつが持ち出した

ワインが高かったんですよね。

特別の来賓向けだったので、

こちらも頑張っちゃいました。

ドレスが全部飲んじゃったんですけどね」

 

ミサオさんは笑って語り、

ドレス代その他もろもろ、

合計1000万を弁護士経由で

請求したのだと語った。

私を笑いものにする気満々だったレミ、

そして母。事なかれ主義で、

二人の言いなりだった父。

三人は、祖父のホテルで

騒ぎを起こした事を、

もちろん経営者である祖父から

厳しくとがめられ、

相続から外すと宣言された。

自力で返済するしかないのだが、

あいにくと父の稼ぎは大した事が無く、

母はずっと専業主婦、

レミはまだ大学生。

父の一馬力で返せるものじゃない。

 

母はパートに、妹も大学中退して

アルバイト掛け持ち、

ついでに父も副業で夜も寝られない

状況だと、祖父から聞いている。

言うまでもないが、

祖父は絶対に助けないと

強く主張しているので、

三人で頑張るしかないのだった。

 

私は、ミサオさんと仲良くなった。

さっぱりした気性の彼女、優しい夫、

そして罰を受けた三バカ……

違った、私の元家族たち。

これらの要素が幸いしたのか、

もう悪夢にうなされる事はない。

 

今見ているのは、近いうちに

ママ友になるだろうミサオさん家族と、

夫との子供が、楽しく交流している、

幸せな夢なのだった。