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本編
エノモトは冷や汗だらだら。
体も小刻みに震えて、
俗にいうガクブル状態だ。
上司の男性が、ぎろっと彼を睨んだ。
そういう事なら、と。私も心の中で
ちょっとワクワクしながら、
今朝の録画を提出してみた。
スカミ「詳しいやり取りは録画して
ありますので、ご覧ください。
必要なら、ドライブレコーダーの
映像も提出しますよ?
というより、ぜひ見てください。
喜んで協力しますから」
ノムラ「それは助かるわね」
スカミ「ついでに、会社で聞いた
話もしましょうか。
エノモトさんって、
有名な方なんですってね。
速度違反5キロオーバーとか、
一時的な停止なのに駐車違反とか。
ある男性によると、おかげで
違反検挙のノルマ達成だとか
何とか言われたそうです」
エノモト「ちょ!ちょっと待って!」
何でその話を知っているんだ、
と言わんばかりの
取り乱しっぷりだった。
その態度のおかげで、私の証言に
信ぴょう性が産まれたらしい。
上司「エノモト!
詳しく話を聞かせてもらうぞ!」
上司に怒鳴られ、エノモトは
顔面蒼白。いっそうガクブル
し始めた。何が正義の執行よ。
暴走としか思えないわ。
しっかり、お灸を据えてもらったほう
が、世のため人の為ってものよね。
私はすっきりして、
ノムラさんに頭を下げたのだった。
後日談。
ノムラさんに聞いた話では、
エノモトの行為は検挙を目的とした、
無理な取り締まりにあたる
という事だった。
きっちり処分が下されて、
懲戒でもおかしくないところを、
諭旨免職処分となったそうだ。
要するに、表向きは自主退職だけど、
実際はクビって感じかな。
違反切符はやっぱり
取り消せないみたいだけど、
ある意味で見返りはあった。
勘違い正義ヤローを警察から
追放できたし、今後はこんなことが
無いように周知徹底されると聞いた。
これで、言いがかりみたいな
取り締まりを心配しなくて
良くなったのなら、まぁいいかな。
私は今日も安全運転だ。
終