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本編
スカオ「手を広げて、
ワシワシねぇ〜…」
完全に墓穴を掘った香水女に、
私はほくそ笑んだ。
スカオ「これであなたの
言っている事が嘘だと、
完全に証明されましたよ!!
駅員さん、今の証言、
よ〜く覚えておいて下さいね!」
香水女「な、なんで嘘なのよ!
私、嘘なんてついてません!!」
駅員さん達も、(なんでだ?)
という顔で私を見てきた。
スカオ「私はあなたの左側に
立っていた。つまり、私は右手で
あなたのお尻を鷲掴みにした、
間違いないですね?」
香水女「そうよ!間違いないわよ!
アンタ、左手でつり革持って、
右手で私のお尻を掴んだのよ!!」
スカオ「残念ながら、それは
不可能なんですよ…
なぜなら私の右手は……」
私はそう言いながら、
ずっと組んでいた腕をほどき、
右手を目線の高さに上げた。
スカオ「分かりますか?
義手なんです。動かないんですよ」
全員が息を飲む音がした。
スカオ「ですから、あなたが
言うように、手を広げて
お尻を鷲掴みにするなんて、
絶対に不可能なんですよ!」
そう言って私はニヤリと
笑って見せた。
駅員さん達も高校生2人も眼鏡の
女性も、そしてもちろん香水女も、
私が冗談でも言っているのか、
それとも本当なのか分からない
ようで、私の右手を見つめて
固まっていた。
(初めて見る人には
信じられないかもしれないな…)
私の義手はオーダーメイドで
製作されたもので、義手だと
分からないような精巧さで
作られているのだ。
駅員「え?それ…本当に義手
なんですか?冗談じゃなく?
いや〜、どうみても普通の手でしょ?
えぇ〜っ…義手って…爪も…シワも…
血管だって浮き出てるし…」
駅員さん達はマジマジと私の義手を
見ながら、とても信じられない
といった表情をしていた。
スカオ「触って確かめてみて下さい。
触れば分かります」
私はそう言いながら
義手の手の甲を差し出した。