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【第8話】天才の姉だけ溺愛する両親→発達障害の私は犬小屋に放置され…

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本編

無我夢中で、

ケージの隙間から手をだした。

幸いというべきだろうか。

栄養状態が良いとはいえず、

私の手足は平均より細い。

大型犬向けの柵を、

腕はするっとすり抜けた。

頑張って手をばたばたさせていると、

留め金が外れた。ケージが開いた!

 

私は最後の力を振り絞り、

這いつくばって、そこから出た。

どこに行くかなんて、頭になかった。

家の中では生きていられないと、

本能的に分かっていたのだと思う。

とりあえずは外に出て、

真っ先に思い付いた公園へ向かった。

水だけでも飲みたいと思った。

喉の渇きは何とかなった。

 

でもその後は?どうしたらいい?

考えても答えは見つからず、

周囲にいる大人の目も怖かった。

これも後から思い返せば、

誰かに助けを求めれば

良かった話だった。

しかしこの時の私は、大人といえば

両親しか連想できなかった。

誰かに、外にいる事を知られたら、

きっと両親にも連絡が行く。

そうなったら、後でどうなるか……

それを思うと、公園にいるのも

恐ろしい。

 

私は、あてもなくさ迷った。

どのくらい歩いたかは分からない。

夜になって、誰も来そうにない

ビルの陰に座り込んだ記憶は、

うっすらとながらあるけれど、

他は覚えていない。

何も考えずに、フラフラと歩いた。

 

コワモテ「おい」

 

急に腕を掴まれて、我に返った。