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本編

そうこうしているうちにどんどん

呼吸が出来なくなってきて、

俺は(本格的にヤバイ…)

と感じていた。

 

(脳か…?心臓か…?

息が出来ない……)

 

それは本当に急な体調変化で、

あっという間に体の自由が

きかなくなり、

息もほとんど出来ないような状態に

陥ってしまった俺は、

もはや死を覚悟していた。

 

(もうダメかも知れない…

俺はこのまま、死ぬんだろうか…)

 

(何とかしてエミコに

知らせなくては…自宅の風呂場で

夫が死んでいるのを発見するなんて、

エミコが可哀想過ぎる…)

 

次第に意識が朦朧とし始める中、

俺は、何とか、どうにかして、

エミコを呼ぶ方法は無いかと考えた…

そして、それまで一度も

使った事の無い、

給湯器の通話機能に気が付いた。

 

その時までは、よっぽどの

老人でもなきゃ、こんな機能を

使うことなんて無いけどな…と、

一度も使った事が無かった、

『通話』と書かれたボタンを、

俺は初めて押した。

そして、上手く回らない舌で、

何度も繰り返しエミコに伝え続けた。

 

スカオ「息が…息が出来ない……

死ぬ……救急車…救急車……」

 

俺の声はエミコに届いているのか

いないのか、エミコからの

返事は聞こえて来ず、

 

(もしかして…通話機能が

故障してしまっているのか……??

それとも、声の届く範囲に

エミコは居ないのか……??)

 

俺は不安に駆られながらも、

他に取れる手段も

思い浮かばなかったので、

とにかく何度も何度も繰り返し、

通話ボタンを押し続け、エミコに

向かって伝え続けたのだった。

 

スカオ「エミコ…救急車…救急車…」

 

(頼む…!!伝わってくれ…!!!)