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本編
ヤスコ「じゃあ、
生活費の管理を私にさせて」
俺の言葉を聞いて、ヤスコは
にやっと嫌な笑みをもらした。
新婚時代、妻に家計を任せた。
半年も経たないで、
管理担当は俺になった。というのも、
ヤスコは浪費の楽しさを覚えて
しまって、好き放題に使ったのだ。
生活費はおろか、俺の個人的な
貯金まで200万ほどだが、
使い込まれた。
スカオ「いくら何でも、これは
だめだ!生活が立ち行かない!」
さすがの俺も、こればかりは事なかれ
主義に徹するわけにはいかず、
妻両親まで巻き込んでの怒鳴り合いを
やらかした末、管理権をもぎとった。
生活費全般にチナツの学費積み立て、
マンションのローン、
保険や車の維持費、等々。
必要なものを差し引いて、
家計としての貯金も行い、個人的に
使える小遣いは5万に抑えた。
それでも、ヤスコは足りないと言う。
一円単位まで細かく計画を立て、
毎月の収支を計算して十分な
目処がたっていても、
なお足りないと言うのだ。
後先考えずに使い放題の妻に、
また生活費の管理をさせるのは、
どう考えても家庭の破滅としか
思えない。
スカオ「それはできない。
君のご両親も交えて
話し合っただろう?
そういう事じゃなくて、
君や娘の生活は俺が責任を持って
支えるという話だ。
俺が稼ぐから、生活の心配は
一切しなくていい。家庭を気持ちよく
暮らせる場に作り替える、
その点で協力して欲しいんだよ」
ヤスコ「ばかばかしい。
今の通りで、私もチナツも
困ってないよ」
スカオ「今は良くても、将来は?
チナツはいつか結婚するだろう。
しっかりした生活ができないんじゃ、
チナツが困る事になる」
ヤスコ「稼いで家事もやる男を
探せばいいじゃん」
ああ、まったく話にならない。
困ったな。どういえば、
妻が真面目に考えるのか。
悩んでいたら、
娘がふらっとリビングに現れた。
チナツ「あれ、珍しーい。
ママがパパと話してる」
ヤスコ「私はしたくないんだよ。
パパがしつこいの」
チナツ「えー?男らしくないなー、
パパ。ママ、別に話す事なんか
ないってさ」