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本編
(あいつらが来た…
俺を探しに来たんだ…
どうしよう…どうしよう…)
自覚していなかったのだが、
どうやらあの事件が、俺のトラウマに
なってしまっていたのだ…
事件の時と全く同様に、
俺は何も考える事が出来ず、
ただ恐怖で頭が真っ白に
なってしまっていた。
俺の様子に気付いた上司が
すぐ横までやって来て、
不思議そうに俺に尋ねた。
上司「スカオ君…?どうした?
そこで何してるんだ?」
責めるでもなく、
馬鹿にしているでもなく、素朴に
『どうしてなのか分からない』
といった感じの声を聞いて、
俺も素朴に
『あれ?俺、何してんだろ…?』と
夢から覚めたような感覚になった。
(あんな訳の分からない幼稚な2人を
相手に、俺はどうしてこんなに
ビビってるんだ…???
ここには俺の味方になってくれる人が
沢山いるし、警察だって、呼べば
すぐに来るだろう。そもそも、勝手に
他人の家に侵入した奴らが悪いのに、
何故俺が隠れなきゃならないんだ?
隠れるべきなのは奴らの方なのに!)
いつの間にか体の震えは止まって
おり、頭が正常に回り始めた。
それでもまだ恐怖が完全に消えた
訳ではなかったし、心臓は
バクバクしたままだったが、
俺は立ち上がり、意を決して
歩き出した…
防御壁のように一列になって
応対する男性社員達の肩越しに、
俺を見つけたノブタカが、
一層大きな声で叫んだ。
ノブタカ「お前!!
何やってたんだよ!!
出てくんのが遅えんだよ!!」
アヤカ「アンタのせいで、私達、
大変な目にあったんだからねっ!!
管理費と迷惑料と賠償金、
さっさと払いなさいよ!!」
2人の言い分は無茶苦茶だった。
ノブタカ「放ったらかしになっていた
空き家を、俺達が代わりに管理して
守ってやったのによぉ!!
管理費を払わないどころか
感謝もせずに、恩を仇で返すような
真似しやがって!!お前は人として
恥ずかしくないのか?!」