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【第8話】天才の姉だけ溺愛する両親→発達障害の私は犬小屋に放置され…
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【第1話】天才の姉だけ溺愛する両親→発達障害の私は犬小屋に放置され…
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本編
びっくりして、左腕を見ると、
ごつい男の人の手が自分を
捉えている事に気づいた。
スカミ(まずい!大人に捕まった!
お母さんに知られる!)
母の●力が頭をよぎった時、
私は思わず走り出していた。
でも、大人の男の人に
腕を掴まれている。走ったところで、
振り切れるはずはなかった。
コワモテ「こら、暴れんじゃねえよ!
危ないって!」
スカミ「やだ、嫌だぁ、
ごめんなさい!」
コワモテ「大声を出すなよ、
人聞きが悪い!
何にもしねぇ、怖がるな」
スカミ「お母さんに言わないで」
私がつい口走った言葉を、
男の人は驚いた顔で聞いていた。
スキンヘッドのその人は、
手と同じで顔もごつい。
でも目は優しかった。
コワモテ「言わねえよ?
つーか、おまえの母ちゃんとは
知り合いじゃねえし」
スカミ「ほんと?」
コワモテ「そもそも、
お前の事も知らねえ。
何かフラフラ歩いてたから、
具合でも悪いのかって思って、
声をかけただけだ。
大丈夫か?ひどい顔色してるぞ」
その人がそう言った時、
私のお腹が大きな音をたてた。
恥ずかしくなって、
顔が赤くなった感じがした。
大きな笑い声が響いた。
コワモテ「腹減ってんのか。
なんだ、早く言えよ。
こっち来い、握り飯くらいしか
無ぇが、食わしてやるからよ」