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本編

(え…何これ…。すっかり

荒れ果ててる…。なんかちょっと…

廃墟みたい…)

 

前回来た時から半年ほどしか

経っていないのに、すっかり

荒れ果ててしまった部屋…。

タバコ臭い澱んだ空気、

敷きっぱなしの布団、

散らばった紙類やペットボトル…。

爪先立ちで薄暗い中を進み、

カーテンと窓を開けて振り向くと、

外光に照らされた部屋の中には、

以前あったはずの物がアレもコレも

無くなっていた…。

 

引っ越し後、2人で一緒に買いに

行った、テレビ、DVDプレーヤー、

パソコン…。

もう一度台所の方に戻ると、

ガスコンロと洗濯機も

なくなっていた…。

 

(これじゃ生活できないじゃん…。

私の部屋に泊まりっぱなしに

なるのも納得だ…)

 

残されていた冷蔵庫の中を

恐る恐る覗くと、強烈な臭気が

鼻を突き、慌てて閉めた。

 

(最悪〜!!!開けるんじゃ

なかった…。電気っていつから

止まってるんだろ…)

 

このまま見なかった事にして帰りたい

気持ちでいっぱいになったが、

そうもいかない…。

この部屋には、今すぐ対処しなきゃ

ならない事が放置されている気配で

満ち満ちている…。

 

(現実に立ち向かうしかない!!

冷蔵庫はとりあえず後回しに

するとしても、あの大量の紙の中

から、電気の振込用紙だけでも

選り分けなきゃ…!!)

 

私は意を決して、まずは入り口の

チラシと封筒の山の、

仕分け作業から始める事にした。

確認が必要そうな封筒やハガキだけを

選り分けて、自分のバッグに

入れていき、チラシとDMは

紙ゴミ​​として一箇所に積み上げた。

 

次に部屋に戻り、ペットボトルと

空き缶を拾い上げ、台所のシンクまで

持って行った。

空き缶のうち2つは灰皿代わりに

されていて、タバコの吸い殻が

何本も入れられていた。