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本編

アスカ「いえいえ。私も、

家に謝罪に来ると言われたら、

当然住所を教えていただろうし、

まさかあんな事になるなんて

誰も予想して無かったので…。

仕方ないですよ…」

 

そう言って電話を切ってから、

じゃあどうすれば避けられたのかと、

改めて考えみたりした。

もし今回園長先生や私が住所を

教えずに、例えば幼稚園で話し合いを

したとしても、執念深いクレハの事

だから、後からママ友達に

聞いたりしてこのマンションを

つきとめただろうし、

もし何日も後だったら、

もう終わったものと安心した私や、

子供達が被害にあっていたかも

しれない…。

 

(刃物の被害にあったのが

自転車だけで済んだのは、

不幸中の幸いだったのかも…)

 

執拗に切りつけられた自転車が

頭の中に蘇ってきて、

私はまた恐怖に震えてしまった。

クレハの旦那さんからの連絡を

待っていたのだが、

10時頃に玄関のチャイムが鳴った。

 

(えっ!?まさか連絡も無く

いきなり来ちゃったの?!)

 

慌ててインターホンの画面を見ると、

見知らぬ中年男性が立っていた。

 

(クレハの旦那さんにしては

年上過ぎるし…。

何かのセールスかな?)

 

アスカ「はい」

 

ヒデキ「〇〇ヒデキと申します。

話し合いに伺いしました」

 

アスカ「〇〇さん?あの…。

存じ上げませんけど…?」

 

ヒデキ「クレハの父です」

 

アスカ「え?クレハさんの

お父様ですか?

旦那さんがいらっしゃると

聞いていたのですが…」

 

ヒデキ「事情があって私が来ました」

 

アスカ「そう…ですか…。

すみません、少々お待ち下さい」

 

私はそう言ってインターホンを

切ってから、小走りで寝室に行き、

ケンタを揺り起こした。