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本編
それまでモラオと何度か仕事をして
好印象を持っていた伯父は、
社長から死別の話を聞き、
赤ちゃんを抱えて働くモラオに、
すっかり肩入れしてしまったそうだ。
とは言え、初婚の私に紹介するのは
流石に躊躇したものの、
独身エリートを何人紹介しても首を
縦に振らない私に、もしかして、
こういう苦労人の方が合うのでは?
と、紹介するに至ったのだと、
以前にも聞いた話を繰り返した。
伯父「てっきり上手くいっていて、
幸せに暮らしているものとばかり…。
こんな事になるなんて、本当に面目
無い!!スカコちゃん、すまない!!
伯父さんが悪かった!!
思い切って紹介して正解だった、
俺の目に狂いは無かったと、
思っていたのに…。」
普段どっしり構えて動じないタイプの
伯父さんが、ションボリしたり、
すごい勢いで頭を下げたりしていた。
私だって、一緒に暮らしていたのに、
10年も騙されていたのだ。伯父の
事を責める気にはならなかった。
スカコ「モラオは外ヅラが良いから、
騙されても仕方ないよ…。
伯父さんの事は恨んでないから。」
伯父「いや!!今回の事は、全部
俺のせいだ!!俺が紹介しなければ…
こんな事には…。」
伯父は自分を責め続け、帰る時まで
ひたすら謝り続けていた。
そして伯父は、当然モラオに激怒し、
モラオの会社の社長に全てを
話してしまった。
浮気相手のモエちゃんは派遣契約を
切られ、モラオは元々の業績の悪さも
あって、リストラされてしまった。
モエちゃんは、「モラオとはただの
遊び。こんな冴えないおじさんと、
結婚なんてゴメンです!」と言って、
さっさと逃げてしまったそうだ。
おまけに、親切なお隣のセワミさん
が、私がトイレに閉じ込められて
窓から逃げた件や、以前から家の中で
DV被害を受けていた件を、詳しく
話して回ってくれたようで、
モラオはご近所中の嫌われ者になって
しまったらしく、肩身の狭い思いを
しているらしい。ローンの支払いも
厳しく、家はやはり売ることに
なるようだ。