前回の内容はこちら▼
1話から読みたい方はこちら▼
本編
鼻で笑いながら自慢気に
話すモラオに、私は、「家に
お金入れてくれてないのに!」と
言いそうになるのをグッとこらえた。
モラオ「はっ?!稼ぎも少ない
くせに、とでも言いたいのか?!
俺のこと馬鹿にしてるのか?!」
スカコ「そうじゃなくて…。
一般的に、多すぎるって意味だよ?
そもそもモラオ、妹さんとそんなに
仲良くないじゃない…。
会うのも実家に集まる時だけ、
年に2〜3回だし…。会ったって、
ロクに話もしないのに…。」
モラオ「うるさいっ!!
兄の威厳ってもんがあるんだよ!!
100万渡して何が悪い!!!
アイツに馬鹿にされる訳に
いかないんだよ!!!
お前なんかが!!俺に!!
文句言う権利が!!有ると!!
思ってるのか!!!」
モラオは怒り、暴れ始めた。
テーブルをひっくり返し、
壁を殴り、わめき散らした。
私は小さく丸まって震えながら、
モラオの怒りが収まるのを
ひたすら待った。
やがて力任せに大きな音を立てて
ドアを閉め、モラオが家を
出て行くと、私はゆっくり顔を上げ、
嵐の後のような室内を見回した。
割れた食器が散乱する中、
買ったばかりのお気に入りの
マグカップも、破片になって
転がっていた。
やるせない気持ちの中、
ユウの存在をハッと思い出した。
(ユウ!部屋で勉強をしているはず…。
音を聞いて怯えてるんじゃ…?)
私は慌てて涙をぬぐい、
服を整えて2階へと急いだ。
ノックをしてドアを開け、
スカコ「ユウ、ビックリさせて
ごめんね!大丈夫だからね!
心配いらないよ!」
ユウ「入ってくんなよババア!!」
スカコ「えっ……。親に向かって、
そんな……。ダメでしょ!?」
ユウ「(チッ!)うるさいんだよ!!
そんなんだからパパがキレるん
だよ!!口答えすんじゃねぇよ!!」
スカコ「ユウ!いい加減にしなさい!
そんな口のききかた……」