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本編
と、今度は大きくて薄い封筒を
手渡した。“贈り物”と聞いて
期待の笑みを浮かべた嫁の顔は、
中を見た途端、驚きの表情に変わり、
徐々に青ざめて、
やがてプルプルと震え出した。
嫁「え……コレ……なんで
……どうやって……?」
封筒の中身は、大きく引き伸ばした
数枚の写真。裕福そうな男性数人と
恐らく合コンをしている嫁の姿、
薄暗いバーで男性に
しな垂れかかっているいる嫁の姿、
違う服装で違う男性と、街中を
堂々と腕を組んで歩く嫁の姿…。
嫁「……どういうこと!?ねぇ、
私を付け回してたってこと!?」
俺「1ヶ月くらい前に、
そういう集まりによく行く
独身の友人から、嫁に似た人を
見たって聞かされたんだ。
その時は、嫁に似た別の女性
だろうと信じてなかったんだけど、
家を出た後、ふと思い出して、
念の為に興信所に調査を
依頼してみたんだ」
嫁「はぁっ!?興信所!?」
俺「まぁ、驚きはしたけどね…。
君が完全にクロだと分かって
踏ん切りがついたよ!
次は汚い作業着なんか着ない、
カッコよくてステキな
ホワイトカラーを捕まえなよ!
……浮気女だとバレないようにね」
と、最後はわざと声を落とし、
ニヤッと笑いながら嫁の目を見た後、
俺はわざと楽しそうに歩き去った。
これで嫁は今後、もし新しい男を
捕まえたとしても、婚姻中の浮気が
バレてしまうのではないかと
常に不安を抱えることになるだろう。
これくらいの嫌がらせは
許されるのではないだろうか?
もっと痛い目に合わせてやりたい
気持ちも無くはなかったが、
嫁はともかく、娘には幸せでいて
もらいたかったし、これ以上娘に
嫌われるような事は
したくなかったのだ…。
それに正直なところ、調査期間が
短かったので、嫁の浮気についても、
実は合コンやデートといった
グレーな証拠しか掴めておらず、
完全にクロだと言ったのは、
俺のハッタリでしかなかった。