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本編
結婚当初、まだ貞淑な女を
装っていたエツコは、ユタカに対し、
本当は全く交流が無いサクラコと、
『女同士、すっかり仲良くなった』と
嘘をついたらしい。
ユタカからサクラコに、
何か伝えるべき要件が有ったり、
渡すべき物が出来たりすると、
『丁度会う約束をしているから、私が
代わりに伝えて(渡して)おくわ』
などと言っては、
父と娘の交流を密かに
邪魔立てしていたというのだ……
サクラコ「あなたと2人で会った事
なんて、ただの1度も無かったのに!
父には、月に何度も会っていると
嘘をついてたらしいじゃないの!!
私をダシに外出して…
いったい何処へ行っていたんです?
その上、父が私の為に作ってくれた
銀行口座を、私に渡しておくと
嘘をついて、自分の物に
していたなんて!!」
サクラコはマンションの家賃収入を、
特にあてにしていなかったため、
借り手が決まったと知らされた後も、
家賃に関しては父に任せっきりで、
確認などはしていなかったらしい。
ユタカはユタカで、銀行口座は
もうとっくにサクラコの元に
渡っているものと思っていたそうだ。
サクラコ「お正月に集まった時に、
このマンションの話題が出た時、
あなた、何食わぬ顔をして
聞いていたわよね?
父も私も、あなたの使い込みに
全く気付いていなかった。
もしあの日、私が、
『家賃には一切手を付けていない。
いつか子供が生まれて、
家族で住むマンションを購入する時、
頭金の足しにでもさせてもらうわ』
って話してなかったら、
父は空の口座を見ても、
何も思わなかったかもしれないわね…
でも、そうはならなかった。隠し事は
いつか必ずバレるものなの!!」
半年前の契約更新の時、ユタカは、
正月に話題に上った、貯まっている
はずの口座の金を確認した。
ところが口座は空っぽで、
毎月振り込まれる家賃は、
丸々別の口座へ送金されている事に
気が付いたのだ。
不審に思ったユタカは、
銀行に送金先の口座の確認を
依頼すると共に、
家賃の受け取り口座を変更した。
銀行からの報告により、
ようやくエツコの横領が発覚。
ユタカは悩んだ挙句、
サクラコに打ち明けた。