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本編
ヨシエさんと両親に、全てを説明する
と、3人とも(まさか……)
といった表情を浮かべていたが、
私の表情や周囲のスタッフが慌てる
様子から、やがて誤解や冗談ではなく
事実だと理解し始めたようだった。
父は徐々に真っ赤になって
怒り出したが、母がショックのあまり
卒倒しそうになると、
一瞬で我に返った。
ヨシエさんは床に手をついて
土下座をしようとしたので、
私が慌てて食い止めた。
スカミ「ヨシエさんが謝る必要は
有りません!これはショウタが
1人でやったこと。責任も、
ショウタだけが負うべきです。
それに、これで終わりじゃ
無いんです。
披露宴会場で待っている、
大勢の招待客に説明して、
謝らなくちゃいけません…
お辛いでしょうけど、
一緒に行ってもらえますか?」
ヨシエ「えぇ、えぇ、勿論よ!!
私の息子がしでかした事だもの…
私がキチンと謝らなくちゃ…!!!」
私はヨシエさんの手をギュッと握り、
「行きましょう…!!」と言うと、
ヨシエさんも大きく頷いた……
流れていた心地よいBGMが
突然止まり、目を真っ赤にした
新婦の私と、ハンカチで涙を
抑えっ放しのヨシエさんが、
突然披露宴会場に現れると、
披露宴会場は一瞬ザワついたものの、
すぐに水を打ったように
静まり返った…
私は震える手でマイクを握り、
声を詰まらせながらも、
正直に一部始終を説明し、
深く頭を下げて謝罪した。
ヨシエさんは隣でずっと泣きながら、
何度も何度も頭を下げていたが、
やがてショウタに対する怒りの声が
会場のあちこちから上がり始めると、
またしても土下座をしようしたので、
また私が慌てて止めた。
(若くして旦那さんを亡くし、
女手一つで苦労しながらも、
いつも笑顔を絶やさなかったという
ヨシエさん……今日は、
そんなヨシエさんが待ちに待った、
息子の結婚披露宴だったはずなのに…
当の息子の不行状のせいで、
こんな大勢の招待客の前で、
泣きながら土下座をする
羽目になるなんて…!!)