前回の内容はこちら▼
1話から読みたい方はこちら▼
本編
正直なところ、妻に響くとは
思っていない。しかし、
俺はそれでもいいと考えている。
チナツの気づきになればいいと。
妻は、俺に戻れと言いたいに
違いない。そう予想しながら
電話に出た。
ヤスコ「何よこの手紙!」
スカオ「読んだ通りだ。家庭の放棄、
育児にも不熱心、ついでに浮気。
どれをとっても離婚に不足は無い
理由だろう」
ヤスコ「あんたが流産を!」
スカオ「もうその言葉は、
効力を失っている!流産を持ち出せば
俺が考えを変えるとは思うな!
俺なりに考えて、
俺なりに責任を取る。
甘やかしてダメにしてしまった
君と娘を立ち直らせるには、
俺がいない方がいい。
甘えさせてくれる相手がいるから、
どんどんダメになるんだ。
もうここで終わらせよう」
ヤスコ「そんなの困る!
私、今まで仕事した事無いのよ?
どうやって生きて行けと
言うのよぉ!」
スカオ「必要に迫られれば、
人間は何でもできる。自分の
可能性を信じて、頑張ってくれ」
それだけ言って、俺は通話を切った。
後は全てブロック。
娘からは何も言って来なかった。
ショックのあまり、
ぼう然としているのかもしれない。
旅行では、家族カードの限度を
目いっぱい使い、生活用口座に
入れておいた予備費も
すっかり使われていた。
ざっと100万を越えている。
浮気相手のホストは、
仕事だからという言い訳で
責任逃れをするだろう。
なぁに。法的には逃げられても、
悪いうわさからは逃げられないさ。
ホストの仕事ができないよう、
手を打ってやる。
スカオ「情報収集ができるという
事は、情報拡散もできるという事だ。
思い知って貰うぞ」
ありとあらゆる伝手を使い、
若いホスト本人のうわさと、
店についても利用を控えるよう、
各方面に呼びかけた。
あっというまに効果が出たらしく、
店のホームページから
ヤツの名前が消えた。
店からも「営業に問題がありました、
申し訳ありません」という謝罪を、
弁護士経由で受け取った。