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本編
妻の浮気は、許される雰囲気を
作ってしまった俺にも非がある。
だから、今回は目をつぶろう。
荒れた家庭をよみがえらせ、
結婚のときに思い描いた家族の
あるべき姿を実現できれば、
それでいい。
目指すゴールを設定した俺は、
妻や娘と向かい合う覚悟を決めて、
時間を作る事にした。
ところが、
そう簡単な事ではなかった。
鉄は熱いうちに打て、
ということわざは本当だな。
面倒がらずにさっさと手を付ければ、
もう少し方向転換は
楽だったに違いない。
ヤスコ「何よ?」
ドラマが終わったところで、
俺は思い切ってヤスコに
話し合おうと声をかけた。
しかし、いきなり
抵抗されてしまった。
ヤスコ「これから第5シーズン
見るんだけど」
スカオ「ちょっとだけ、時間をくれ。
今の家庭の在り方は、家族全員に
とって良くないと思うんだ。
せめてチナツの将来についてだけ
でも、しっかり話しあっておきたい」
ヤスコ「さっき言ったよね?
チナツに言いたい事があるなら、
自分で言って」
スカオ「もちろんそうする。
その前に、ヤスコと意見を
一致させておかないと、チナツに
響かないんじゃないかと思う」
ヤスコ「今さら」
ヤスコは鼻でせせら笑った。
ヤスコ「あんたさぁ。
私が流産した責任が自分にあるって、
分かってる?」
スカオ「分かってる。
あの時は本当に悪い事をした。
初めての妊娠で不安だっただろう?
なのに、仕事を理由にして、
俺は君を放置し過ぎた」
ヤスコ「そうだよ!あんたが
冷たすぎて、約束も破られまくって、
私はずっと泣いてたよ!
そのせいでストレスがひどくって、
流産したんだ。
もう子供が出来ないかもしれないって
言われた私の気持ち、
あんたに分かる!?」
スカオ「女性じゃないと
分からないだろう。男の俺には、
君が味わった恐怖や不安は、
想像しかできないよ。本当に
悪かった。でも、それはそれだ。
幸いにして、会社は順調に
業績を伸ばしている。俺は働く事しか
能がない、経済的に家庭を支える
役割を全うするよ。
そういう形で責任をとらせてくれ」