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本編

A子「気持ちはよく分かるわ。

だけど、血を分けた、たった一人の

娘であることに変わりはないわ。

たとえまた傷つく事になるとしても、

会った方がいいと思う。

私も側についてるわ。」

 

A子の後押しで、俺は覚悟を決めた。

そうだ、会わずに後悔するくらい

なら、会って後悔した方がいい。

俺、娘、そしてA子の3人で、会社

近くの喫茶店で会うことになった。

少し早めに着いて待っていると、

時間通りに娘がやってきた。

 

喫茶店の入り口から、緊張した面持ち

でキョロキョロと店内を見回し、俺と

目が合うと、フッと安心したように

顔を崩して、こちらへ歩いて来る。

2年前より背が高くなったか…。

少し大人っぽくなったような…。

テーブルのところまで歩いてくると、

娘は突然、深々と頭を下げた。

 

娘「パパ、ごめんなさいっ!!

私…パパに酷いことした…

本当にごめんなさい…!!」

 

床にポタポタと涙が

落ちるのが見えた…。

俺は立ち上がり、

娘の肩を掴んで頭を上げさせた。

娘の顔を見て、頭を撫でた。

 

(何か、娘が安心するようなことを

言ってやらなければ…何か…何か…)

 

そう思ったが、何も浮かばず、

俺まで泣いてしまいそうになるのを

必死に堪えながら、ただ何度も頷き、

娘を抱きしめ、謝りながら

泣きじゃくる娘の頭を撫で続けた…。

しばらくそうして娘が落ち着くのを

待っていると、そろそろ声を

かけようかというタイミングで、

いつの間にか横に立っていたA子が、

両腕を俺と娘の背中に片方ずつ

伸ばし、トントン。と優しく叩いた。

 

A子「さあ、もう二人とも、

いい加減泣き止んで。

座りましょうよ。」

 

と、自分も目を潤ませながら

ニッコリと笑い、

娘にハンカチを差し出した。