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【第1話】妊娠中電車で仲良くなった女性→後日とんでもない事態に…
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本編

彼はスマホを取り出し、

てきぱきと連絡を始めた。

ミカコは、彼に取り押さえられた

姿勢で泣きじゃくっている。

 

ミカコ「何でよ!?

何でなのよぉ!」

 

コワモテ「あのな?

あんたの事は知ってるよ、前から

何度か電車で見かけてた。

俺は通りすがりだし、

事情はよく知らねえよ?

ただ、こんなバカな事をしたって、

あんたは救われない。

これは分かる」

 

ミカコ「だってその女、

能天気すぎて、腹が立つのよ!

私の赤ちゃんは、元気に

産まれてこれなかった!

お腹の中で、育たなくなって

しまって!

あんたらに分かる?

産声をあげない、

心臓も動いていないと

分かっている赤ちゃんを

産む気持ち。産むのだけは、

普通の妊婦と同じよ!

でも、生まれた

我が子は泣かないのよ?

ぴくりともしないのよ?

それと知っていて、

どんな気持ちで分娩台に

あがったと思う!?」

 

ああ、そうだったのか。

ミカコがお子さんの話題を

出さなかった理由。

お腹の中で……

そういう事だったんだ。

 

手の施しようがないと分かって

いながら、産むしかない事もある。

私も説明はされていた。

そういう状況も有り得ると。

知識では知っていた。

 

でも、ミカコは自分自身で

その辛さを味わったのだ。