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本編

ちらっと横目で見ると、

ミカコは、肩にかけていた

トートバッグを

ごそごそやり始めた。

何をする気!?

 

顔を正面に向き直らせた時、

彼女がバッグから刃渡り

20センチほどの包丁を

持ち出したのが視界に収まった。

さ、刺身包丁!?

 

スカコ「ミカコさん!?

何でそんなもの」

 

ミカコ「大人しくしてね?

暴れたら、余計に痛いわよ。

血もいっぱい出るだろうし。

黙ってお腹を

差し出してくれれば、なるべく

痛くないようにしてあげるから」

 

ミカコはもう、

完全に正気を失っている。

私のお腹から赤ちゃんを

取り出すつもりだ!!

 

妊娠6ヶ月で母体から、

しかも医者でも何でもない素人が!

赤ちゃんを無事に取り出すなんて、

絶対にできるはずがないのに!

 

スカコ「や、やめて!

ミカコさん、お願いだから

正気に戻って!」

 

ミカコ「私、よく魚を

さばくのよ。大丈夫よ、

きちんと研いであるから」

 

にやぁっと笑い、

ミカコは一歩一歩近づいてくる。

逃げようにも足がすくみ、

全身も固まってしまって、

呼吸するのがやっと。

 

もちろん走れる体じゃない。

どうしよう、ミカコは本気だ!?

ああ、もうだめかも。