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本編

ただ、あまりにも早口で、

高圧的なのが引っ掛かった。

うーん。わかる奴だけついてこい主義か?

それは進学塾の指導態度として、どうなんだ?

 

 

しばらく様子を見ていたが、

結局は生徒が分かったような分からないような、

あいまいな様子で質問を終了させた。

ノリオは足早に立ち去って行った。

 

 

スカオ(理解できたかの確認もしないのか。

専門外の数学でこの調子なら、

専門の英語はどうやって教えているんだろう)

俺は不安になった。

 

 

塾長は、ノリオの指導実績は

東大合格率8割だと言っていた。

昨日はすなおに「凄いなこいつ、

言うだけの事はある」なんて思ったが、

ちょっと待てよ?

 

 

これ、何らかのからくりがあるんじゃないか。

真に受けてはいけない、何かがある気がしてならない。

そんな気持ちになっていた。

 

 

今の指導状態を見守って、

その疑問が大きく膨らんだ。

だとしたら、塾の在り方というか、

塾長の方針に根本から関わる問題を、

ノリオは抱えている事になると、俺は思った。

 

 

やがて15時になった。

開放教室の監督講師はこの時間で交代になる。

ノリオが控え室に引き上げてきた。

 

 

ノリオ「おっ、中卒先生」

目が合ったとたん、やつは俺を馬鹿にした。

それはもう、天晴れと言いたいほどに堂々と。