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本編

塾長「私も、何度かチーフには

態度を改めるように指導はした。

しかし、自信がありすぎるのか、

なかなか持論を曲げなくてね」

 

 

スカオ「塾長にも逆らうんですか?」

塾長「いや、私はまぁ、

これでもオーナーも兼ねた塾長だ。

あんまり言いたくはないが、

彼の先輩という立場でもある」

 

 

なるほど。

話を聞いているうちに、

俺はノリオの性格や普段の考え方について、

少しずつ理解を深めていった。

 

 

俺は28歳、ノリオは2歳年上の30歳。

年齢的には近いが、

学歴は近いどころか相当な距離がある。

 

 

日本の学歴価値的に、

最高と言える経歴らしい。

俺はまぁ……しょせんは中卒だな。

その理屈でいけば。

 

 

ノリオは努力家だという。

かなり小さいころから、

どうしても東大に合格したい

という熱烈な志をもって勉強に取り組み、

ずっと首席を通してきた男だったそうだ。

 

 

塾長「さすがに東大では、

首席は逃したようだが、

提出された資料を見る限り、

優秀と言っていい成績だった。

事実、指導実績もあるんだ。

彼の教え子で、東大現役合格者は8割に達するよ」

 

 

スカオ「それだけ実績があるなら、

まぁ高飛車な態度になるのも

無理はないってところですね」

 

 

塾長「私は、学歴だけを

見ているわけじゃないんだがな。

私の教育方針は、

チーフにはあまり

しっかり伝わっていない気がするよ。

 

 

まぁ、それは置いておいて。

スカオ君がどうしても

彼と合わないようなら、

無理にここで仕事をしてくれとは言わないが」

 

 

スカオ「いえいえ、お気遣いなく。

まだ一度も授業していません。

せめて1コマだけでもやらせてください」