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本編

大学受験の英語論科では、

時々英語の論文が出題され、

和訳を求められる。

 

 

俺としては、英論文とはこういう形式だと、

目で見て理解を促す意図だったのだが、

図らずも仕返しになってしまったようだ。

 

 

結局ノリオはろくに和訳できず、

そそくさと教室を退出してしまう結果になった。

生徒も保護者も爆笑状態だった。

 

 

控え室に戻った時、ノリオは塾長室に

連れていかれていた。

俺も呼ばれたので後を追った。

室内では、ノリオが頭を垂れて、いかにも意気消沈。

 

 

スカオ「大丈夫ですか、チーフ」

ノリオ「人が悪いな。

なんであんな長文をすらすら和訳できるんだ?

どんな秘密があるんだ。

中卒のレベルとは思えない」

 

 

スカオ「秘密なんて特にないです」

ノリオ「そんなわけあるか!」

 

 

ノリオは引き下がらない。

塾長が俺に頷きかけている。

ネタバラシをしたら、最初に隠した意味が

なくなるんだが、言わなきゃ彼は

食い下がり続ける気がしたので、やむを得ない。

 

 

スカオ「日本の学歴としては、中卒にあたるんですかね?

あくまで日本の学校に行っていないというだけです。

出身大学は、ハーバードですよ」

ノリオ「ハ、ハーバード!?」