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本編

顔認証に登録した保護者の皆さんが、

俺の授業が公開されるという、

出所のわからない噂か何かを聞いて、

駆け付けたらしい。

 

 

事務局員「いま塾長に問い合わせていますが、

保護者の皆さんは授業が公開されると

思い込んでいる様子で」

スカオ「そうですか」

 

 

……誰の仕業か。なんとなく予想はつく。

親御さんも時間を作って来訪されたわけだし、

ここはひとつ、その手に乗ってみるのも一興だろう。

 

 

スカオ「こちらの手違いなのでお帰りくださいは、

今さら言えないでしょう。

信用問題になりかねない。

わかりました、私の教室にご案内をお願いします」

 

 

塾長の判断を待っていては、

保護者を怒らせるかもしれない。

評判は塾にとって命綱だ。

こうなったらやるしかない。

 

 

俺は腹をくくって教室に入った。

いつも以上に大人数だ。圧巻だな。

そう思っていたら、教室のドアが開いた。

ノリオが入ってきた。

手に分厚いコピー用紙の束を持っている。

 

 

ノリオ「保護者の皆様、

お集まりいただきありがとうございます。

当塾の英語科チーフです」

 

 

と軽く自己紹介すると、奴は教団にいる俺を見て

 

 

ノリオ「えー、中卒講師でおなじみのスカオさん。

今日はぜひとも、スカオさんの実力を

大勢の皆さんにご披露いただきたいと思いましてね」

 

 

と話しかけてきた。