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本編

そのやり方を全否定するわけではない。

緊張も大事だろう。

だが、連発しすぎる。

 

 

あれでは、生徒が息をつく暇がないのでは?

俺はそう思う。

教え方も、数学の時に見た、

いやあれより一段と早口だ。

 

 

絶大な自信を持つ教科だからこそ、

授業は流れるようにさくさく進む。

流れが速すぎて、生徒を振り切って

しまっている感があった。

 

 

できる子ならついていけるだろうが、

取りこぼしが発生しているとしか思えないのだ。

スカオ「はい、参考になりました」

 

 

口ではそういった俺だが、

実のところは「反面教師」として

参考になるという意味だった。

 

 

ノリオは気づいていないらしく、

得意げに胸を張った。

しかし。彼には彼流がある、

だったら俺にも俺流がある。

 

 

俺は、前の塾でやっていた通りの

指導方法を守ろうと決心した。

一か月ほど経過して、

だんだんと講師の評判が生徒間にも

浸透し始めていた。

 

 

授業には、通常コースの他に

特進コースと呼ばれる、

偏差値が高い学校を目指す優秀な

生徒用のプログラムもある。

個人授業コースもある。

 

 

それらの通常ではないコースにおいて、

ノリオは過去の実績を評価されているらしく、

いつも人気だった。

だが、その不動の一位に、俺が迫りつつあった。