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本編

控え室の講師たちがざわつく。

そのひそひそ声に耳を傾けると

 

 

講師「またチーフの悪い癖が始まったよ」

講師「今度は新人先生かぁ」

 

 

やっぱり、過去に何度も似たような事を

やらかしていると見えた。

せっかくの学歴なのに、どうやらノリオは周囲から

相応の敬意を払われるどころか、

むしろ煙たがられる存在のようだ。

 

 

やがて授業時間になった。

背中に同情の視線を浴びていると自覚しながら、

俺はノリオについて教室へ向かった。

 

 

ノリオ「どうだ?あれが俺流の講義だ」

授業後、ノリオは例の得意満面だったが、

俺は心の中で苦笑いを漏らしていた。

 

 

内容は高水準だったと思う。

受験に青春を捧げた経歴を生かし、

出題傾向をしっかり分析して、

どう対処するか。

 

 

いわゆる受験テクニックにも

踏み込んだ講義内容は、

なかなかのものだ。

 

 

しかし、重大な問題があった。

ノリオ「ちゃんと聞け、一回しか言わないぞ!」

何度も繰り返し、そう言っていた。

 

 

俺の考えは、生徒が理解するまで根気強く、

何度でも繰り返して教える。

しかしノリオは、大事な場面になればなるほど

「一回しか言わない」と強く言い、

生徒に集中を求めた。