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本編
そのまま大通りまで出ると、
ちょうどやって来たタクシーに
乗り込み、私とヒロトは
学校へ向かった。
学校に着くと、門の所でタカダ先生が
待っていて下さっていて、
すぐに前回と同じ『相談室』へ
案内してくれた。
タカダ「突然驚かせてしまって、
申し訳ありませんでした」
アスカ「いえ、あの…こちらこそ…
ご迷惑をお掛けしてしまって…
それであの……
一体何があったんですか??」
タカダ先生は、普段より少し興奮を
滲ませた声で、授業参観での
出来事を話し始めた…
授業参観に初参加のユタカは、
最初こそ落ち着きなく教室の中を
見回していたそうだが、
ヒロトの姿を見つけると、
嬉しそうに大声で笑って
手を振っていたらしい…
やがてチャイムが鳴り、
授業が始まった。
生徒達が順番に、『将来の夢』という
テーマで書いた短い作文を読み上げる
という内容だったそうだ。
やがてヒロトの番が回って来ると、
ヒロトは立ち上がり、
大きな声で作文を読み始めた……
ヒロト「ボクの将来の夢は、
けいさつ官です。
ボクのお父さんは、
いつもお母さんをいじめます。
お母さんは何も悪くないのに、
お父さんはどなります。
物を投げつけたり、たたいたり、
足でけったりします。
お母さんは、はんげきしません。
じっとガマンして、泣いています。
顔や体に、ケガをする事もあります。
それから、お母さんの心まで、
病気になってしまいました。
前は、たくさん笑ってくれたのに、
今は、外に出る元気もなくて、一日中
ずっとねている日もあります。
お父さんは知らん顔で、
家に帰って来なくなりました。
たまに帰ってきたら、
またお母さんをいじめます。
僕が大人になったら、
けいさつ官になって、お父さんから
お母さんを守りたいです!」
授業の前に手を振ったいたせいで、
保護者達はユタカがヒロトの父親
だと分かっていた為、
途中からヒソヒソと後ろ指を
指し始め、ユタカはワナワナと
震え始めたらしい。
そしてヒロトが全てを読み終わった
途端、ユタカは怒鳴りながら
暴れ始めたそうだ。