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【スカッとする話】私の勤務する病院に救急搬送されてきた夫。→緊急オペを開始した途端、医師と私は凍りついた.…【第6話】
前回の内容はこちら▼ 1話から読みたい方はこちら▼ 本編 そして剥がされた作業着の下から 現れたタカシの右胸から腕にかけて… なんと…… 見たこともないタトゥーが…… いくつも彫られていたのです…… スカコ「……え?……… なにこのタトゥー...
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本編
私は湧き上がってくる怒りを
鎮めようと、目を閉じ、震える息で
深呼吸をしました。
それから、ポケットからスマホを
取り出し、タカシのタトゥーを
写真に撮っていきました。
全体像…各部分のアップ…
特に、日付と女性の名前と、
“LOVE”が含まれた英文部分は、
念入りに角度を変えて
何枚も撮影しました。
スカコ「ありがとうございました。
申し訳ありませんけど、もう一度
包帯、お願いできますか?」
そう言って、戸惑う同僚と、
労わるような目線を送る師長を残し、
病室を出て行こうと歩き出してから、
ふと思いついて、入り口の所で
振り向いて、こうお願いしました。
スカコ「師長、夫が目を覚ましたら、
私は今日、病院に居なかったことに
してもらえますか?」
同僚「え?……」
戸惑う同僚看護師とは対照的に、
百戦錬磨の師長は、すぐに私の意図を
くみ取って、大きく頷きました。
師長「……わかったわ。
…今日、あなたは休みだった。
タトゥーのことも知らない」
スカコ「ありがとうございます。
担当医にも伝えておいて
頂けますか?」
師長「わかりました。
ちゃんと伝えておきます」
スカコ「お願いします」
そう言って深く頭を下げ、
私はタカシの病室を後にして、
救急外来に戻りました。
普段バタバタしていることの
多い救急外来ですが、
今日は患者が少ないようで、
比較的落ち着いた雰囲気でした。
私は少しホッとしました。
主任「…あ、スカコ…大丈夫?」
スカコ「大丈夫です。
持ち場を離れてすみませんでした…」
主任「そんなのいいのよ、非常事態
だもの。……で、ダンナは?」
スカコ「手術は無事に終わりました。
大丈夫です。怪我も思ったより
軽かったみたいです。処置して
頂いて、ありがとうございました」
主任「いや、良かった…」