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本編

大将にじろっと睨まれ、

若い店主夫婦はまた黙り込んだ。

そう、私は出版社に勤めていて、

食べ物系の本を編集している。

婚約者はフリーの

フード系ライターだ。

その縁で、私達は

まもなく結婚する。

私達にとって食べ歩きは

単なる趣味じゃない、

仕事も兼ねているのだった。

 

先週、大将の店で話が弾んだ時、

この話もしていた。そのうち

取材を、と申し込んでもいた。

嬉しそうに笑ってOKしてくれた

大将、私達が今日は息子の店に

行くと聞いて、親心から様子を

見に来てくれたのだろう。

それが、とんだ姿を見てしまい、

怒り爆発という感じかな。

とにかく親方にきつくお灸を

据えられて、ふざけた若い二人は

すっかり震え上がったのだった。

 

その後。

私達はこの店について、

遠慮なく厳しい記事を書いた。

彼らはがちがちに

修行し直しだそうだ。

もちろん店はすぐに畳まれて、

今度は外観を生かした

イタリアンレストランになる

予定だという。

 

スカ美「ねえ、結婚式には、

あの大将に食事の用意を

お願いしたいね」

 

ハルト「賛成。頼んでみようか」

 

私達は、にっこり笑い合った。

大将が腕を振るってくれると

いいな。楽しみだ。