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本編
その日は休日だったが、
ケンタは仕事の都合で
午前中だけ職場に行く事になり、
俺と弁護士とケンタの3人は、
午後の話し合いの約束の、1時間前に
現地で集合することになった。
少し早く着いてしまった俺は、
マンションに置いてきた自分の荷物
でも整理しようかと思い立った。
(このマンションはオートロック
じゃないし、弁護士もケンタも
部屋番号を知っているから、
自分達で部屋まで来れるだろう。)
スマホで[先に部屋に入っている]と
弁護士とケンタにメッセージを送り、
ドアの鍵を開けて部屋に入ると、
「ひさしぶり。」と声がして驚いた。
すでにヤバミが待っていたのだ。
スカオ「あ…あぁ…。ひさしぶり。」
俺はいつものように、
内側からドアの鍵をかけようとして、
手を止めた。
(後から2人が来た時、
いちいち玄関まで来るのも面倒だし、
鍵は開けたままにしておこう。)
久しぶりに会うヤバミは、
落ち着いた様子で、笑顔まで見せ、
意外な程に友好的だった。
スカオ「弁護士は?
約束の時間には来るのか?」
ヤバミ「ううん。雇ってないよ。
必要ないと思う。」
スカオ「え…。そうなのか…?」
ヤバミ「とりあえず、
お茶でも飲む?」
スカオ「あ、あぁ…。」
仲良く暮らしていた頃のように、
穏やかな声で話すヤバミ。
睡眠薬を飲ませて俺を○そうとした
なんて、何かの勘違いだったんじゃ
ないかと思える程だった。
お茶を淹れる為にキッチンに消えた
ヤバミが、リビングに戻って来たので
目を向けると、
手には急須でも湯呑みでもなく、
どういうことか、
包丁が握られていたのだった…。