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【第8話】浮気夫「お前のガキは堕ろせ!」→私は生きる気力を失い屋上へ…

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本編

(私は無能だから、

意見を言う権利など無い…)

 

(もし離婚されたら、

私はもう生きていけない…)

 

(リョウの言う事に従っていれば、

全てうまくいく…)

 

(リョウが子供を堕ろせと

言うのなら、そうする他ない…)

 

私は涙を流しながら、

リョウがその場で病院に予約を

入れるのを、ただ黙って聞いていた…

 

頼れる親も親戚もおらず、

友達との関係も絶たれてしまった

私にとって、この結婚生活が

世界の全てだった。

 

離婚か否かの二択を迫られると、

どれだけ嫌でも、離婚以外の

選択肢を選ぶしか無かったのだ…

 

子供を堕ろした日……

喪失感と悲しみ、そして大きな

罪悪感を抱えて家に戻った私は、

ただ1人、ベッドの上で泣き続けた…

リョウは、

「仕事があるから立ち会えない」

と言い、同意書だけを私に渡して、

病院に付き添ってはくれず…

 

それどころか、何の連絡もなく

夜遅くまで帰って来なかった。

 

(手術の後は出血や痛みもあるし、

気持ちも不安定になるだろうから、

せめて早く帰って来て欲しいと

頼んでおいたのに…)

 

日付が変わる少し前…

酔っぱらっているのか、リョウは

上機嫌で騒ぎながら帰宅した。

玄関まで行って出迎えた私に

仕事用のバッグを渡したリョウは、

私に声を掛ける事もなく、

歌いながらフラフラと寝室へ入って

行くと、スーツのまま

寝てしまったのだった…

 

(リョウはもう、私の事を大事には

思ってくれていないんだ…)

 

悲しい事実を思い知った私の目から、

再び涙が溢れてきた。

人生で最も辛い1日だった……