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本編

ルリ「無理、もう無理。別れて」

 

スカ太郎「何が無理なんだ?

悪いところがあれば

言ってくれ、直すから」

 

ルリ「あんたには直せないわよ。

家が貧乏なんて、

どうやって直すのよ。

バイト学生のくせして」

 

大学時代の悪夢を思い出して、

俺は朝食の手を止めた。

フラッシュバックというやつだ。

過去の嫌な思い出を、突然

思い出して苦しむというあれ。

もうかれこれ10年も

昔の話だというのに、

未だに頭をちらつく。

そのたびに悔しい思いも、

ついでによみがえってくる。

 

俺はスカ太郎。

今でこそ、世間に対して

恥ずかしいところは何もないが、

それはここ4~5年の話だ。

実家は、笑っちまうほどの

貧乏で、よく大学まで

行けたよなと、我ながら

感心するくらいだった。

妙な副産物とでもいうか、

俺はやたらと野草に詳しい。

貧乏すぎて、川辺や道端に

生えている草を採ってきては

調理、食卓に出すという

家庭に育った。

ほんと、山に放り出されても、

食べ物に困らない自信がついた

生活だったのだ。

 

必要に迫られたおかげで、

高校も大学も公立へ進めた。

俺の母校は、

高校も大学もレベルは高い。