※このページでは広告主の依頼によりアフィリエイト広告を掲載しています。

【ブログ限定】警察「息子さんに結婚詐欺の容疑が…」→私「え?息子は◯◯ですけど?」【後編】

前編はこちら▼

【ブログ限定】警察「息子さんに結婚詐欺の容疑が…」→私「え?息子は◯◯ですけど?」【前編】
中編はこちら▼ 本編 私はスカ美。41歳の共働き主婦だ。 夫ヤスキは2歳年上、 穏やかで優しい人。 共通の活動もしている。 結婚して20年が経つのだけど、 新婚時代のように幸せだ。 私達夫婦には、 大切なかわいい息子が...

中編はこちら▼

【ブログ限定】警察「息子さんに結婚詐欺の容疑が…」→私「え?息子は◯◯ですけど?」【中編】
前編はこちら▼ 後編はこちら▼ 本編 さらに詳しく話を聞くと、 ミミの実家はそこそこ資産家で、 一人娘だという。 小学校時代は、女の子ながらに いわゆるガキ大将タイプで、 よく駅前の駄菓子屋に 入り浸っていたそうだ。 ...

本編

警官「結婚を前提に交際されていたのが、

お金を貸した途端に音信不通になった。

話し合いをさせてくれというのが、

女性の訴えです」

 

スカ美「ちょっと待ってください。

息子って」

 

ミミ「リク君の事よ。

私という者がありながら、

お見合いの話をしてたじゃん。

そんなの、許せない!」

 

スカ美「え?リクって、うちのリク?」

 

警官「どうやらそのようです。

ぜひ、リクさんと話し合いをお願いします。

何でしたら、第三者として立ち会いますから」

 

ミミ「結婚詐欺で訴えられたく

なかったら、リク君を出して!」

 

ええと。

これはどうしたものやら。

ご近所の女性は、確かミミについて、

思い込みが激しい性格だと言っていた。

という事は、私があれこれ話しても

聞いて貰えない可能性が高い。

 

スカ美「リク!

リク、おいで!」

 

私は、リビングに向かって声をかけた。

ちりりんと鈴の音がし、

小さな影がひょっこりと姿を現した。

我が家の可愛い息子。

ブリティッシュショートヘアという

品種の猫、リクだ。

ミミも警官も、目が点になった。

 

ミミ「は?え?」

 

警官「ね、猫!?」

 

スカ美「はい、そうです。

うちの息子のリクといえば、

この子の事ですよ。

いま2歳で、人間の年齢でいうと、

だいたい24歳くらいにあたりますね」

 

ミミ「24歳って、そういう意味だったの!?

てっきり早い結婚で、

年頃の息子さんがいるんだと思ったのに」

 

スカ美「私達夫婦は、

子供に恵まれないんです。

どちらにも理由があります。

若いうちから分かっていたので、

夫婦で話し合った結果、

保護猫活動をする事に決めました」

 

私の仕事はブログ執筆や、

保護猫活動に関する記事を書くライターだ。

人間の事情で飼えなくなった、

猫を始めとするペット達の命を、

一匹でも救いたいという夫婦の意志で、

長らく保護猫の里親プログラムへ

加入している。

 

リクも保護猫出身だ。

ブリティッシュショートヘアは、

人気のある猫だ。

ペットショップで買うとかなり高い。

平均で16~20万円ほどする。

 

この子は恐らく、裕福な飼い主が

可愛さにつられて衝動買いしたものの、

持て余して飼育を放棄したのだろう。

保健所から、保護猫プログラムの

有志に引き取られ、

里親募集されていたところを、

私達が見つけて飼う事にしたという経緯がある。

 

私もヤスキも、実家暮らしのころから

猫を飼っていた。

その縁で、知り合って結婚したのだ。

保護猫をお迎えして、我が子も同然に

可愛がるのが、夫婦共通の活動というわけ。

 

スカ美「ついさっきまで、

友人とその話をしていたので、

ミミさんは誤解されたようですね。

ご覧の通り、息子とは猫の事なんです。

ミミさんと結婚を前提としたお付き合いも、

ましてや金銭の貸し借りも、

あり得ません」

 

警官「失礼しました。

それではミミさんには、

署までご同行をお願いします。

訴えの内容が、事実と

かけ離れすぎているので、

詳しくお話を伺わせてください」

 

ミミ「えええ!」

 

ミミは抵抗したが、警官に強く言われ、

観念したらしい。

とぼとぼとついて行った。

やれやれ、これで一件落着、かな。

 

その後。

虚偽の訴えをしたという事で、

ミミは公務執行妨害に問われた。

初犯である事と、金銭と物理の両面から、

とくに被害が無かった事から、

厳重注意で終わった。

もちろん両親に知られ、

親子三人で謝罪にも来た。

ミミは怒られた事が相当に堪えたようで、

すっかり小さくなっている。

 

ミミ父「とんだご迷惑をおかけしたようで、

申し訳ありません」

 

ミミ母「一人っ子なもので、

甘やかしすぎてしまったようです。

お騒がせした事を深くお詫びいたします」

 

ミミの両親も恐縮して、

ぺこぺこと何度も頭を下げた。

二人とも常識人というか、

娘かわいさに訳が分からなくなるような

タイプではなかったようだ。

話がこじれたらどうしようと思ったけど、

すんなりと謝罪されて、ほっとした。

ヤスキも怒ってはいない。苦笑いして

 

ヤスキ「ペットヒーリング

というものがあります。

ミミさんにおすすめしますよ」

 

用意していたパンフレットを、

ミミと両親に手渡した。

精神的に不安定だったり、

その他の理由で、孤独感に苦しんでいる人を、

ペットが癒すというものだ。

 

なまじっか資産家だったせいで、

お金に不自由しない代わり、

コミュニケーションの基本を学ばなかったのが、

ミミを「変わった子」に

してしまった可能性がある。

今からでも軌道修正できれば、

というのが夫の意向だった。

 

初心者でも飼いやすい猫を紹介したところ、

ミミもその気になったようだ。

飼いやすさで常にランキング上位に入る、

アメリカンショートヘアの

女の子をお迎えする事になった。

私達とも付き合いがある、

保護猫プログラムの関係者を経由して、

一匹譲ってもらう事が決まった。

 

スカ美「分からない時には、

いつでも相談してくださいね。

私も夫も、猫は長く飼っていますから、

ある程度はアドバイスできます」

 

ミミ「ありがとうございます」

 

うちにも遊びに来るようになった。

リクと、ミミの飼い猫は気が合うのか、

可愛くじゃれて遊んでいる。

もしかして、お嫁入りするかな?

 

スカ美「そのうち、

ミミさんにも縁談が来るといいね」

 

ミミ「あの。この間、

父がお見合いの話を持ってきてくれて。

お相手は、猫がお好きなんだそうです」

 

スカ美「あら、良かった!」

 

いつのまにか、仲良くなった。

せっかくなので、猫と彼女、

両方の恋を応援しようかな。