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本編

私はスカミ。

就職がなかなか決まらないうちに、

大学卒業を迎えてしまい、

以後は仕事を転々としていた。

先天性の高度難聴というのが、病名だ。

左右ともに、聴覚はかなり低い。

耳の中では絶えず雑音が鳴り響き、

外の音が聞き取りずらいのだ。

 

母「ねえ、スカミ。

手術を受けてみない?」

 

高校生の時、母から

人工内耳手術を提案された。

難聴を治す方法の一つで、

成功率は高く、うまくいけば

普通に外の音を聞けるというのだ。

もちろん母は、良かれと思って

勧めてくれたに違いない。

かかりつけの耳鼻科医にも

 

耳鼻科医「いい成績が

残っているんです。

スカミさんはまだ若い、手術への

適応力が期待できるでしょう」

 

自信満々といった様子で、

話をされたとも聞いた。

当時の私は、両耳に補聴器をつける

事で、何とか人の声を聞く事が

出来ていたが、満足には程遠かった。

30センチ以上離れた場所から

呼ばれると、すぐには

反応できないくらい。

車のクラクションに気づかず、

あわやという経験をした事もある。

 

スカミ「手術かぁ、なんか怖いけど」

 

母「この雑誌を読んでみて。

体験談が載ってるわよ」

 

母は、女性向け週刊誌を手渡して

来た。記事が掲載されている

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