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本編

しばらくブラブラ歩きながら、

クレーンゲーム機を順番に

見て回っていたAでしたが、

お目当ての商品が決まったらしく、

それからはずっとその台に留まって、

やり続けていました。

最初は楽しんでいる様子

だったのですが、欲しい商品が

全然取れないようで、

何度も両替機まで行って

両替しては硬貨を使い切って、

それを繰り返すたびにどんどん

機嫌が悪くなっていくようでした…

 

延々と失敗を繰り返した後、

Aはついに「あー!!!!!」と

叫び声を上げ、クレーンゲーム機の

ボタンをバンバンと叩き始めました。

(取れなかったのね…)私は少し

気の毒に思っていたのですが、

次の瞬間、Aが周囲を見回し、

近くのスタッフに向かって

信じられない要求をし始めたのです。

 

A「ちょっと!!そこのあんた!!

この台開けなさいよ!!!」

 

たまに「これってどうやったら

取れますかね?」などとお聞きになる

お客様はいらっしゃいますが、

商品が引っかかっている訳でも

ないのに、台を開けろと要求される

ことは、もちろんありません。

要求されたスタッフは、

嫌な顔を必死に隠しながら、

Aの所に行きました。

 

スタッフ「申し訳ございません…。

それは出来ない決まりになって

おりまして…」

 

A「はあ〜!?

決まりとか知らないし!!

客が開けろって言ってんの!!」

 

スタッフ「規則ですので…」

 

A「商品くれって言ってんじゃ

ないのよ!?開けろって言ってんの!

取れないように細工してあるから

開けられないんでしょ!!」

 

スタッフ「いえ。細工とかは

してませんよ。そんなことをしたら

警察に捕まりますし。」

 

A「だーかーらー!警察呼ぶ代わりに

私が見るって言ってんの!!

ありがたく思いなさいよ!!」

 

スタッフ「いえ。警察を呼ばれても、

こちらには一切後ろめたい事は

ございませんので」

 

A「あぁーーっ!!!もうっ!

わかったわよ!使えない店員ね!!」

 

離れた場所から見ていた私は

(やっと諦めたか……)と

少しホッとしました。ところが…