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本編

叔父「家内は専業主婦で、

ずっと家にいるんだが、

時々見かけるくらいだったそうだ。

もっとも、挨拶しても無視したり、

たまに大声で何か怒鳴っているような

声が聞こえるそうなんだが、

少なくとも何かされたことはない。

放っておけばいいだろう」

 

スカオ「そっか。

俺はいつも出歩いてるタイプだし、

そういうやつだと最初から

分かっていれば、

俺からちょっかいは出さないよ」

 

そんな話をしたあと、

いよいよ引っ越し。

環境はなかなかいい感じで、

いわゆる閑静な住宅街だった。

公園があったり、

コンビニがあったり、

ちょっと歩けば総合病院もあったり。

 

割と大きな川も近くにあって、

河畔公園と銘打った憩いの場もある。

バーベキューコーナーまで

あるくらいだから、なかなかのもの。

 

住民も、俺が会った限りでは

みんなしっかり挨拶してくれるし、

ペットの散歩もマナーを守っていて、

うまくやっていけそうな

印象を受けた。

ただ一人の例外を除いて。

 

マツオ「あ?なんだおまえ」

 

産まれて31年、

ごく普通に生活してきたつもりの

俺にとって、目が合ったと同時に

凄まれるという経験は初めてだった。

いやもう、見るからにヤンキーな、

たぶん40代前半くらいの男。

 

叔父さんから聞いていた、

左隣の住人だ。

引っ越し作業から三日ほど

経ったある日の夜、

会社帰りだった俺は、

自宅前でその男に

ばったり鉢合わせした。