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本編

後々分かる事だけれども、

この義兄の配慮が、リエさんに

悪い影響を与えてしまった。

もちろん、当時は知る由もなく、

義兄夫婦の仲は良好に思われた。

ナツカが成長してくると、

リョウタロウさんは目を細めて、

我が子のように

かわいがってくれた。

子煩悩な姿を見ると、施設時代に

私を妹分として優しく受け入れて

くれた頃が思い出された。

 

リョウタロウ「ナツカちゃんは

元気いっぱいだなぁ。いい事だよ」

 

スカ子「ありがとうございます、

リョウタロウさん」

 

リョウタロウ「スカ子さんが

子供だった時に

そっくりじゃないか。

ちょっとお転婆なところとか」

 

リョウタロウさんは、

楽し気に笑っていた。

私は恥ずかしくなった。

そういえば、施設の庭に

大きなイチョウの木があって、

よじ登った事があった。

下りられなくなって泣いていた

ところに、リョウタロウさんが

駆けつけてくれたっけ。

 

リョウタロウ(8歳)

「スカちゃん、大丈夫!

いま助けるから!」

 

大声で、泣いている私へ

声をかけ、施設の先生を

呼んだりして、

がんばってくれた。

ちなみにシュウジロウは、

確か、木の根元で

おろおろしていた気がする。