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本編

はしゃいで、知らないおっさんと

ハイタッチした拍子に、ポップコーン

をぶちまけてしまったようだ。

 

左横にいた女性客が、頭から

それをかぶってしまっていた。

俺は慌てて謝った。

 

スカオ「ごめんなさい、

すぐ拾いますから」

 

カヨコ「そんなに謝らなくて

大丈夫です。ビールだったら

困ったけど、ポップコーンだし、

そこまでじゃないですよ」

 

スカオ「いやいや、

ご迷惑をおかけしまして」

 

よく見ると、なかなか美人だった。

というか、はっきり言って

タイプだった。

俺と同年代くらいの、髪が長くて

色白、ナチュラルメイクの彼女。

それだけに、ポップコーンの

シャワーを浴びせてしまって、

本当に恥ずかしかった。

彼女カヨコは、笑顔で俺の

不始末の後処理を手伝ってくれた。

 

スカオ「お一人ですか?

女性がお一人様でプロ野球観戦は、

珍しいですね」

 

カヨコ「子供の頃から

野球好きなんです。

たぶん父の影響でしょうね」

 

スカオ「お父さんが、

野球ファンなんですか?」

 

カヨコ「若い時は野球やってたん

だって、聞いたことがあります。

プロを目指したりもしたって」

 

スカオ「わかりますよー。

野球やってたら、誰でも一度は

プロを夢見るものです」

 

勝手に決めつけてしまったが、

俺も昔は野球少年だった。

プロ野球選手になりたいと、

思わなかったなんて嘘はつけない。

 

無理やりやらされたとか、

特別な場合を除いて、自分から

野球チームに入ったヤツなら、

だいたいは夢を持つだろうと思う。