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本編

駆けつけた店員さん達が力を合わせて

キチムラさんを助けようと

しているのを、

私はまだ夢の中にでもいるような

気持ちで眺めていた…

やがて救急車のサイレンの音が

聞こえてきた後、

救急隊員が駆け込んできた。

 

しばらく屈みこんで処置をした後、

担架に乗せられたキチムラさんが

私たちの横を通り、

運び出されて行った。

その姿は、とても言葉に

出来ないほど痛々しいものだった…

 

(あんな大型のテレビが、

いくつも落ちてきたんだもの…

無事じゃ済まないよね…

すぐに回復できるといいけど…)

 

キチムラさんが運び込まれた

救急車を見ると、セコタさんも

一緒に乗り込むのが見えた。

すぐ側には、胸のところで両手を

握り、青ざめた顔に涙を浮かべる

ワルノさんの姿があった。

さっきまで一緒に騒いでいた友達が

変わり果てた姿で運ばれていくの

だから、さぞ心配だろう…

私たち3人も、不安な気持ちで

見守っていると、

年配の男性店員さんが、私たちの所に

やって来て声をかけてきた。

 

男性店員「あの…すみません。

怪我をされた方と、

一緒に来られた方ですよね?」

 

アスカ「はい。そうです」

 

男性店員「あんな事になった経緯を

お聞かせいただきたいのですが…」

 

すると、さっき入り口にいた

店員さんが、こちらへ

駆け寄って来てくれた。

 

店員「その方たちは悪くありません!

私、一部始終を見てました!」

 

そう言って、事故までの流れを

私たちの代わりに身振り手振りで

説明してくれたのだった。

私たち3人も、さすがにショックを

受けていたし、上手く説明できる

自信が無かったので、

店員さんに証言してもらえて、

本当に有難かった。