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本編
(どうりで!珍しく私に笑顔を向けて
来たのは、嫌がらせが楽しみで
仕方がなかったからなんだ…
義母のニコニコ顔がブキミに
見えたのは、そのせいだったんだ…)
ツバサ「父さん…赤の絵の具が
無いと、絵の続きが描けないよ…
悪いけど、オレだけ
明日家に帰っていいかな?
家になら予備の絵の具が有るからさ…
じゃなきゃ、とてもじゃないけど
締め切りに間に合わないよ…」
怒ってわめき散らしてもいい場面
なのに、ツバサはあくまで冷静に、
サトシに状況を説明した。
何も悪くない、被害者なのに、
申し訳なさそうに
『家に帰りたい』と言うツバサ…
サトシ「明日の朝一番に、母さんと
コズエと3人で先に帰りなさい。
父さんは残って、
色々片付けてから帰るから」
義母「えぇ〜っ!!
ヤダヤダヤダ〜!!!ツバサ、
半年ぶりにやっと会えたのに、
帰らないで〜!!!
お願いだから明日も一緒に
過ごしましょうよ〜!!!」
この期に及んで反省もせず、
まだ自分勝手な主張ばかりしてくる
義母に、ツバサはもう、
溜息しか出ないようだった。
(朗報!義母オワタ!
地獄の帰省、これにて終了〜!!
これ以上、ツバサもコズエも
困らせないで済む!!
私ももう気を使わなくていいし、
嫌がらせも受けなくて済む〜♪♪♪
やった〜!!!)
万歳三唱したい気持ちを
グッと堪えて、私は子供達を
促して客間に戻る事にした。
すると義母は、わざとらしく
脱衣所の床に倒れ込み、
ツバサの足に縋り付いた。
義母「ツバサ…まさか、ばあばのこと
嫌いになっちゃったの…?
違うわよね、違うって言って〜!!」
ツバサ「…………嫌いに
なったっていうか…ばあちゃん……
さすがにこれは無いよ……」
まるで亡者を裁く地獄の十王の
1人のように、義母を冷たく
見下ろすツバサ…
義母は恐らく、いつも通り同情を
誘うような態度をとれば許して
もらえると思い込んでいたのだろう。
これまでのツバサとは全く違う
冷淡な眼差しに、ヘナヘナと
力が抜けてしまったようだった…