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本編

ああ、気が滅入る。

時計の針が午後10時を

回っても、夫ノブキが

帰ってくる気配はない。

かといって、早く帰って来て

欲しいかと言われても、

素直にうんとは答えられない。

どうして、こんな事に

なったのだろう。

 

私はスカ子。26歳の専業主婦、

そして妊娠7ヶ月。ノブキとは

結婚して1年半になる。

彼は、義父が起こした会社で

営業として働いている。

私もかつては同僚だった。

社長である義父をはじめとして、

義母も義姉も、跡継ぎが

決まっている義兄も、

みんないい人達だ。

妊娠からしばらくたち、

安定期に入った頃。

義実家に報告したら、全員が、

何より義母が一番大喜びで

私の手を握ってくれた。

涙ぐみながら

 

義母「スカ子さん、おめでとう。

くれぐれも体を大事にね」

 

スカ子「はい、ありがとう

ございます。お義母さん」

 

義母「ねえ?もしスカ子さん

さえよかったら、この機会に

同居しない?こう言っては

何だけど、ほら、ノブキがねえ、

あの子はちょっと子供っぽいと

いうか、大人になり切れて

いないというか。

我が子ながら心配なの」

 

そう提案してくれた。

正直言って、義母の言葉には

納得できるところが

たくさんある。

本当に、ノブキは

大人げない部分があるのだ。